女には「今日は気分を上げたいな」、という朝がある。
重要なプレゼンテーションを控える朝。
ちょっと嫌なことがあった翌朝。
特別な夜のためにいつもよりお洒落をする朝。
凛とした空気をまといたいような、勇気が欲しいような。
わたしがもっと、誰よりも特別に輝いたらいいな、
というささやかな望み。
そんなある日は、一粒ダイヤモンドのネックレスを纏う。
その分トップスは控えめなモノトーンを選び、シックな雰囲気を。
またある日は、きらきらと光を集める天然石の、たっぷりとしたピアスをつけて髪の毛はシニヨンにざっくりまとめる。
お気に入りの一つのジュエリー。
こんなに小さな世界なのに、なんだか、憧れの女性に・なりたい私に一歩近づいたような。
寝起きの顔色が少し明るくなって、佇まいさえ上品になるような。
慌ただしく玄関を出る、ジュエリーと一緒に。
ネックレス、ピアス、リング、ブレスレット、ブローチ。現在のジュエリーに該当するような宝飾品は、人類の歴史と同じくらい昔から存在すると言われる。いろいろな説があるが、有力なのは未知なるもの、おそれに対する「お守り」としての意味をもつという説だ。
一番原始的な段階では、身体に直接いろいろな色素を施すボディペインティングのようなものだったらしい。そこから日常の生活の中で手に入る自然の素材に簡単な加工を加えたものが現代のジュエリーの祖先になった。象牙のような強い動物を装飾品の形に加工し、その強さを見に纏ったという話もある。
歴史を紐解いてみると、もしかしたらジュエリーは単に身分や階層差を示すもの、ファッション的な意味だけではなく、人間の本質に深く根ざした特別なもの〜自然界に存在する大いなるものの力を形にて身につけ、今日という生を共にする大切な存在なのかもしれない。
お気に入りのピアスやネックレスを身につけたとき、なんだか1歩憧れに近づいたような心強さを感じるのは、太古の時代に生きた祖先から受け継いでいる人間の根源的なところが由来だから。なのかもしれない。
自分をすこし高めてくれるもの、そして良さを引き出してくれる存在。
楽しかったり悲しかったり、うれしかったり辛いことがあったり、いろいろな「今日」という1日をささやかに彩ってくれる特別な子。
だからこそ歴史とともに脈々と生きてきた祖先がそうしたように、大いなる自然が育んだ素材から作られた本物を身につけたい。
大切につくられた本物を
凛としたい仕事にも、特別な夜にも
いつもより少し輝くわたしのために。
今日の朝も、明日の朝も。
By Shiki.H(R ethical PR)
<参考文献>
・「ジュエリーの世界史」(山口遼/新潮文庫)